資格や身分を証明するバッジ
バッジは単なるコレクターズアイテムとして集めている人も多いですが、本来は資格や身分を象徴する身分証のひとつです。軍隊や警察では所属や階級を示し、一般の会社では社員章として、学校では校章として用いられます。これらは身分をはっきりさせると同時に、誇りを持たせ組織の一体感を高める効果があります。デザイン的に優れていれば、組織のイメージアップにも貢献するでしょう。
国会議員や弁護士、裁判官などは、身分証明のバッジを身につける職業の代表例と言えます。国会議員は金メッキで11弁の菊花をかたどっており、衆議院は赤紫、参議院は紺のモールがついています。弁護士は金色のひまわりの中に、銀色の天秤がデザインされています。ひまわりは正義、天秤は公正の象徴です。裁判官は一般に八咫鏡徽章と呼ばれ、古代の鏡の形の中に「裁」の字が彫り込まれています。このほか検察官や司法修習生にも独自のバッジがあります。
国家資格を象徴するものは数多くあり、司法書士・行政書士・弁理士などは知っている方もいるでしょう。司法書士は五三の桐、行政書士はコスモス、弁理士は菊花の中に桐というデザインです。菊や霧は国の紋章としても使われます。税理士は日輪を表す円の中に桜をあしらっています。公認会計士は平成20年からデザインが一新され、楕円形の中に黄色と黒の正方形が多数組み合わさった複雑な形になっています。
不動産管理士、宅地建物取引士、マンション管理士などは、日常生活でも比較的よく見かけるかもしれません。また社会福祉士や中小企業診断士などに並んで、保育士にもスカンポをデザインしたバッジがあります。国家資格だけでなく、民間の資格を取得した時にも授与される場合があります。英検や販売士検定は有名ですが、手話検定・ソムリエ・利き酒・ネイリスト・自動車技士など、さまざまな団体が多様な資格を認定してバッジを授与しています。
公認会計士と税理士など、複数の資格を同時に持っている場合、どちらのバッジを身につけるのかは、時と場合によって決まります。公式の会合に出席する際には、その会にふさわしいものを選ぶのが常識です。写真撮影などの際には、最も上位と考えられるものを選ぶのが一般的です。ただし日常的に業務を行なう上では、まったく着用しない人も珍しくありません。世間の認知度が低い場合や、デザインがいまひとつである場合には、外したままで仕事をすることも多いようです。